近年、海藻には抗酸化化合物が含まれていることが分かり、健康と慢性疾患に役立つと示唆され大きな注目を浴びている。海藻から抽出された脂肪酸には乳がんの拡散をブロックすることが分かり、さらに褐藻類に含まれる多糖類とテルペノイドは抗がん活性を持つ有望な分子であることも実証されている。
イタリア人薬理学者のマニュエルビアッゾ博士の研究では、フランス領ポリネシアの褐藻類「パディナパボニカ」抽出物(EPP)を調査すると、いくつもの興味深い生物活性が見つかったという。その一つでEPPが骨肉腫細胞の ”SaOS-2 ”および”MNNG” に対し増殖を防ぎ死滅させるという興味深い研究結果を発表した。下記の表は”SaOS-2 ”および”MNNG”に対してEPPが与える影響を示した資料である。
出展:MDPI: Pro-Apoptotic Activity of French Polynesian Padina pavonica Extract on Human Osteosarcoma Cells より
図1.Saos-2およびMNNGへEPP投入後、24時間、48時間の細胞生存率を調査。EPP投入前を100%とし、EPP濃度(3.1, 6.25, 12.5, 25, 50, 100, 200㎍/ml)で比較。
出展:MDPI: Pro-Apoptotic Activity of French Polynesian Padina pavonica Extract on Human Osteosarcoma Cells より
図2. CTR(EPP投入前)を100%とし異なる量のEPPを投入し、24時間後に細胞カウンターで測定。
出展:MDPI: Pro-Apoptotic Activity of French Polynesian Padina pavonica Extract on Human Osteosarcoma Cells より
図3. EPP投入24時間後画像。左側がCTR(EPP投入前)。右に行くほど高濃度のEPPが投入されている。
画像A:細胞数の減少を表す。
画像B:細胞の形状変化を表す。矢印→は細胞の断片。DNA損傷を表し細胞死滅の特徴が表れている。
骨肉腫はがんと診断される中でも1%とまれな疾患ではあるが、患者の70%は20歳未満であり5年生存率が60~70%と深刻な疾患である。治療は手術と化学療法によって確立されているが、化学療法には有害な副作用があり新しい抗がん剤が早急に必要とされている。
今回の研究結果から、マニュエルビアッゾ博士の研究チームは「海藻パディナパボニカは、骨肉腫細胞株に対する抗がん特性を有し、骨関連疾患を予防したり、骨肉腫の現在の治療プロトコルをサポートする栄養補助食品ツールとして使用できる」としている。
また、研究チームはパディナパボニカにはこの他にもいくつもの有望な生物活性があるとし、引き続き研究を続けている。
参考資料:MDPI : Pro-Apoptotic Activity of French Polynesian Padina pavonica Extract on Human Osteosarcoma Cells